ディシジョンエイドを使って考える

 自分自身がどんな人生を送りたいか、それに伴ってどんな治療を受けたいのか、情報をもとに、あなたの価値観に沿った意思決定を行うために、「ディシジョンエイド」が活用できます。

 ディシジョンエイドとは、1990年頃から欧米を中心に開発されているもので、患者さんや家族が治療や検査、ケアや予防方法などを選ぶ意思決定に参加できるために作られたものです。多くの治療は不確実さを伴い、100%を言い切ることができるものはありません。判断が難しい意思決定を行う時に、情報を得ながら、あなたの価値観にしたがった意思決定をすることをサポートします。

-手術を受け、集中治療室に入室する予定のある患者さんのためのディシジョンエイド-

 このディシジョンエイドは、手術を受けた後に、集中治療室(ICU)で治療を受ける予定のある患者さんが、手術前に使用できるディシジョンエイドです。このディシジョンエイドは、2冊のパッケージ版です。ディシジョンエイドAを読んだ後、ディシジョンエイドBを読みます。ただし、ディシジョンエイドBは治療プロセスで生命の危機的状況に陥った場合に備えて、最終的にどこまでの治療を受けたいと考えるのかを検討する内容になっています。患者さんによっては、手術前に読むことで、不安が強くなってしまう方もいるかもしれません。必ずしもディシジョンエイドBを読まなければいけない訳ではありません。

ディシジョンエイドA
「あなたが受けたい治療を考え、誰に伝えるかを考えるためのサポートガイド」

 このガイドでは、手術の前にあなたが受けたい医療はどんな医療か、あなたがこれまでどんなことを大事に人生を送ってきたか、治療が終えた後のあなたの楽しみや希望、価値観をについて、あなたの大事な人や家族、医療者に伝えておくかどうかを意思決定します。

 患者さんの多くは、手術の前に何らかの不安や心配を抱えています。同様に、家族などの大事な人に心配をかけたくないという思いも持っており、周囲の人に自分の気持ちや考え、不安や心配に思っていることを率直に話すことができていないとも言われています。

<使い方>

PDFをダウンロードし、読んだり書き込んだりしながら使用します。

1度使用したら終わりではなく、治療の経過に応じて、あなたの気持ちが変わった時などに繰り返し使用できます。

ディシジョンエイドB
「回復が難しくなった場合に、どのような治療を受けたいかを考えるためのガイド」

 このガイドでは、治療を受けている途中で回復が難しい状態になった場合に、最後までできる限りの治療を受けるか、治療のゴールを切り替えて受ける治療を制限するかを事前に考えてみるためのものです。

ただし、1度考えたら終わりではありません。治療の経過やあなたの人生の過程において、考えや価値観が変わることはありますので、あなたが考えてみたいと思ったタイミングで繰り返しディシジョンエイドを使うことができます。

<使い方>

PDFをダウンロードし、読んだり書き込んだりしながら使用します。

1度使用したら終わりではなく、治療の経過に応じて、あなたの気持ちが変わった時などに繰り返し使用できます。

このディシジョンエイド開発に関わる研究

1. Yamamoto K, Yonekura Y, Hayama J, Matsubara T, Misumi H, Nakayama K. Advance Care Planning for Intensive Care Patients During the Perioperative Period: A Qualitative Study. SAGE Open Nurs. 2021 Oct 1;7:23779608211038845. doi: 10.1177/23779608211038845.

2. Yamamoto K, Yonekura Y, Nakayama K. Healthcare providers' perception of advance care planning for patients with critical illnesses in acute-care hospitals: a cross-sectional study. BMC Palliat Care. 2022 Jan 7;21(1):7. doi: 10.1186/s12904-021-00900-5.

3. Kanako Yamamoto, Junko Hayama, Yuki Yonekura, Kazuhiro Nakayama, Erika Ota. A Scoping Review of Advance Care Planning Support for Patients in Intensive Care Units. Pacific Rim International Journal of Nursing Research. 2022;26(3):488-500. Accessed December 7, 2022.
https://search.ebscohost.com/login.aspx?direct=true&db=rzh&AN=157509884&site=ehost-live

4. Yamamoto K, Nakayama K. Development and content validation of decision aids for advanced care planning support for patients undergoing high-risk surgery. J Perioper Pract. 2022 Sep 14:17504589221117672. doi: 10.1177/17504589221117672.

5. Yamamoto K, Kaido T, Yokoi T, Shimada G, Taketa T, Nakayama K. Implementation of advance care planning decision aids for patients undergoing high-risk surgery: a field-testing study. BMC Palliat Care. 2022 Oct 12;21(1):179. doi: 10.1186/s12904-022-01068-2.